最適解への絶縁状

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前回の記事でケーキ屋さんを取材して大いに刺激を受け、今後の工房運営の指針になる気付きを得ることが出来ました。

しかし、今後のガラス工芸やマーケットについて冷静に熟考しているうちに・・・

なぜか、もやもやしたものが湧き上がってくるのでした。

伝統工芸の世界に身を置くものとして、職人としての王道を行くことに何のためらいがあるのかと不思議に思うかもしれませんが、現代の変革期において、どちらの側に舵を切るかは大問題であります。作家としての命運が大きく変わるといっても過言ではありません。

今回は主に自分自身に向けての防備録として現時点での考えをまとめてみたいと思います。

工芸の世界からしばし、離れて歴史を数百年ほど遡っていただきます。

時は戦国時代 天正3年5月21日(1575年6月29日)

騎馬で名高い武田勝頼軍1万5千 対 織田徳川軍3万8千との長篠の戦です。

かつて、学校で習った3千丁もの鉄砲を使った3段撃ちはその後の研究で現実的ではないとの解釈が主流であるようですが、世界史から観ても、火縄銃の伝来から製造、実戦導入までの流れは特筆するものがあります。

この戦い以降の戦術が大きく変わるきっかけになったのは間違いありません。

鉄砲隊に対して騎馬隊が突撃を繰り返し、当代きっての名だたる武将がこの戦いで命を落すことになるのは象徴的です。

何世代にもわたる「技の研鑽と武人としての尊厳」

「経済力と鉄砲」という新しいテクノロジーにあっさりと屈服してしまった戦いという位置付けが自分の中では根強く残っています。

パティシエで例えてみましょう。サクサク、ふわふわ、しっとり 素材感の異なるミルフィーユ状の生地を垂直にきれいに切断する技量と穏やかな人柄に加え、地元の有機栽培の食材が看板です。

一方、大手食品会社は高速振動ブレードを導入し、24時間連続稼動の最新設備。

これに加えて、グルテンフリーだの稀少糖などの新しい食材を大々的に宣伝、自社が持つ物流網での全国展開の波状攻撃。

足袋屋がスポーツシューズを作るとか下町工場がロケットを飛ばすとかは正直、大好きなのですが、個人の信念と粘り強い突撃に勝機はどのくらいあるのかと想像すると、気分がとても重くなるのです。

文化としての価値や消費者の趣味趣向が加わるので、日本刀がソニックブレードに勝つことがあるかもしれません。

しかし、今後のAIが導入されたIOT社会においての世界企業が作るルールの中で個人商店が勝ち続けることが出来るのか、本当のところ、どうなのでしょうか??

絶対的な悪が存在できなくなった社会でありますので、絶対的な正義も同時に存在できなくなってしまいました。ですから、こんな二元論で展開していること自体がズレているのでしょう。

そこで、ちょっと視点を変えてみます。最新の人工知能は入力からの演算とかいう生ぬるいものではなく、24時間365日オンラインでAIスピーカや携帯端末から情報収拾し学習し続ける、人類の集合知になりつつあります。こうなると最適解であるのは当然で、やがては未来予知に限りなく近いものなるかもしれません。

非常にけしからん例ではありますが、富士山ロープウェイなるものができたら、

インバウンド需要が増加するでしょう。経済は絶好調!便利で豊かな社会でありますので、異論はあっても反論なんてもんはないでしょう。

でもね。けしからんのですよ。

自分としては。全くもって、けしからん・・ぷんぷん!!

けれども正しいのが世の中です。

ここまでくると、善悪や勝ち負けではなく、

急速に収束しようとするブラックホール

最適解という名の「可能性の死」からの生還という新たなベクトルが見えてきました。

もっと愉快でフラチな生き方で、のらりくらりと最適解から逃れてみせましょう。

さて、具体的な戦略、戦術は次回にゆずります。

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