以下の文章はクラウドファンディングでの活動報告で掲載されたものを転載しております。
2019/06/02の記事です。
皆様、こんばんは。
本日も活動報告をご覧頂きありがとうございます。
前回は小屋が完成した後の活動について、説明させていただきました。
実はこれまでに多くの方からご意見やご要望をいただいておりまして、
その度に吹きガラス教室の生徒さんを交えたりしながら、夫婦で話し合いを行ってきました。
正直なところ、これしかない!という正解は現在まで、はっきりとはしておりません。
それでも、将来の方向性は定まっておりますので、
この場をお借りして、少しずつ明確にしてゆきたいと思います。
まずは、製造業としての吹きガラス業界の現状をお話しします。
数年前から続く、原材料、燃料費の高騰で国内工場の多くは海外への生産委託を余儀なくされてきました。
IKEAなど大手、インテリア雑貨店に並ぶ、デザイン性豊かでしかも安価なグラスに押されています。
美術大学のガラス科を専攻する学生の多くが、卒業後に作家として窯を持つことを目標にしていなかったりします。
そして工場に就職を希望する学生も現在は少ないと聞きます。
これは伝統工芸全般に言えることなのですが、高い技術力があっても、
日本刀の製造技術を包丁に置き換えて、和傘の伝統の技術でランプシェードを作るなどして、
時代にあったものに技術を転用してゆかなければ、生き残ってゆけない厳しい環境化にあります。
そして技を継承してゆくための後継者の育成も考えてゆかねばなりません。
そんな中で、当工房のような小さな規模の個人事業主ができることを考えました。
その一つが「生産者」と「消費者」の関係を改めるという方針です。
製造業もしくはサービス業としての業務を放棄するという意味ではありません。
1200℃の高温で炉を維持してゆかなければならない関係上、どうしてもお金のやり取りは外せません。
ボランティアでやってゆけるようなジャンルではないのが、悔しいところであります。
具体的にはお客様の制作をサポートする共同制作者になります。同じ側の立場という関係を築くことを心がけます。
それによって、劇的な変化が生まれます。
ウェディング・ナイフなどの制作になりますと、人生の一大セレモニーに参加&協力してくれた人という認識が生まれます。
後日、お礼のお手紙などをいただくと本当に嬉しい気分になります。
サービスの対価としてお金をいただくという当たり前の流れの中に、
感動と感謝そしてかけがえのない思い出が加わります。
これまでに、近所の小学生を中心に課外授業のお手伝いなどを長年させていただいた結果、
「わたし達の町のために頑張るガラス屋さん」という認識と
「名誉お兄さん」の称号をいただくまでになりました。
散歩の途中で小学生に指を差されたり?手を振ってもらえるようになったことは、
大きな勲章です。
小屋の活用と大きく話題が離れてしまいましたが、
工房横に建設された新しい小屋は地域のシンボルとしての役目を果たすための重要な拠点となります。
これまではガラス工芸を軸に展開してきましたが、今後は新しいサービスと新しい企画を考えてゆきます。
職場や家庭以外での心地よい居場所になるには様々な要素が必要となりますが、
それらのお話は次回に譲ります。